古くて新しい治療：上咽頭擦過療法（EAT）

上咽頭（鼻とのどが奥でつながる部位）に塩化亜鉛という薬品を塗布する治療（別名：Bスポット療法）は、1960年代に提唱された治療法でしたが、当時の「万病に効く」という論調が医師らの反発を招き、科学的な評価を受けることができず、徐々に衰退しておりました。

しかしながら、近年ではその作用機序の一部について科学的に説明可能となっており、EAT(Epipharyngeal Abrasive Therapy)と呼ばれ、再評価されるようになってきております（参考：日本病巣疾患研究会）。

当院でも昨年5月にご希望の方への施行開始をアナウンスして以来、記事を見て数十人の方が受診・継続治療されており、効果を感じている方も出てきています！

○対象となる症状→後鼻漏、咳、咽頭違和感、頭痛、疲労感、ふらつき、新型コロナウイルス後遺症、風邪をひきやすい体質など

○中学生以上に限定
○抗凝固剤内服中、妊娠中の方は原則除外
○授乳中でも可能

EATの費用は3割負担の場合一回400〜500円程度ですが、病変と治療評価のために鼻からの内視鏡検査（3割負担で1,800円）を原則月に一度行う必要があります。また、初診時には症状に応じて鑑別診断のための検査が必要になります。

臨床経過に応じて1－2週に一度のペースで通院していただき、症状や所見がある程度改善した時点で治療を終了するか相談する形になります。平均10回程度、2－6か月が目安です。

誰にでも効果があるという夢のような治療法ではありません。また、効果発現の有無を前もって予測することは困難であり、実際にやってみなければわかりません。加えて、上咽頭を鼻の中から(場合によっては口の中からも)綿棒で強めにこすりますので、率直に言ってかなり苦痛を伴う治療です(もちろん局所麻酔は行います)。

以上の点を充分ご理解のうえ、ご希望の方はご来院ください（予約の必要はありませんが、診察終了時刻1時間前を過ぎてしまうとできませんので、時間に余裕をもってお越しください。また、お電話での質疑応答はできかねますのでご了承ください）。